「様々なことを学んで成長できる」
2016.2.23マイナスイメージの介護職
介護の仕事にはまだまだ世間一般ではマイナスイメージがあるようです。ニュースや新聞などで介護の仕事が取りあげられる場合も、その成り手の不足や離職率の高さというネガティブな意味合いが大きいと言えるでしょう。しかし現在既に高齢化社会を迎え、また出生率の低さからその高齢化の度合いも今後ますます大きなものになっていくことが予想される日本において介護の仕事はとても重要です。事実2016年3月現在の政権を担う安倍内閣も介護職の離職率改善を政策目標に掲げるほどです。
現場に聞く介護職のやりがい
しかし、マイナスイメージの高さが問題視されている介護職ですが本当にそんなにも厳しい職業なのでしょうか。確かに仕事である以上、大変なことや苦労もあるでしょうがそれはどの仕事だって同じです。そして介護職には介護職にしかない大きなやりがいがあるのです。そのやりがいについて、28歳で別の仕事からヘルパーに転職し、10年を介護業界で過ごしたベテランの高見さん(仮名)にお話を伺ってみましょう。
新人ヘルパーの苦悩
介護の仕事の本質は、深く相手に寄り添うことだという高見さん。この考えを持つに至ったのは介護の仕事に就いてから始めて担当した男性の影響が大きいと言います。その男性は徐々に身体の自由が効かなくなる難病にかかっており、高見さんが介護を担当した時には日常生活を一人で送ることが難しい状態でした。そのような身体の方への介護は緊張と恐怖を感じてしまい、初めはうまくできなかったと言います。しかし、その男性がこちらの不安を見抜いて逆に大丈夫だよと声をかけてくれるような方だったため、徐々に安心して介護に取り組めるようになったそうです。
人間的な学びの大切さ
その経験は高見さんにとってとても大きなものでした。これまでの考えでは相手はお客様であり自分が相手に何かをしてあげる存在なんだという考えが強かったのです。しかしその経験を通して高見さんは、介護を受ける方は自分よりも人生経験が豊富で深い人間性を持っている方が多く、介護を通してかえって自分が学びを得るという形で受け取るものの方が多いのだと考えるようになりました。
自分がありがとうと言いたい
残念ながら高見さんが担当された男性の方は、しばらく経って亡くなってしまわれたそうです。しかし、その余生はとても穏やかだったようで家族にも自分は幸せだ、それに高見さんにありがとうとお礼を言いたいとよく漏らしていたとのことでした。葬儀の席で遺族の方よりその話を聞かされた高見さんはこちらこそ学ばせていただくことが多かったと恐縮し、そしてそう言ってくれた男性に感激したそうです。
このような出会いや人間的な成長こそ介護職のやりがいではないのかと思います。
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