訪問介護の指揮者「サービス提供責任者」

2016.3.5

ケアマネージャー以上に低い認知度

介護におけるサービス提供責任者という仕事はケアマネージャー以上に知名度が低く一般的な認知や理解は遅れているかもしれません。しかしこの仕事は介護の中でも訪問介護においてとても重要な仕事になります。それというのも介護保険法により訪問介護事業所に対して、利用者40名以上に対して1名以上の設置が義務付けられているからです。
介護には施設に入所されている方向けに行われる介護と自宅で行われる介護があり、2016年3月現在での政府の介護における方針は「施設から在宅へ」を掲げているため在宅介護は社会的にも重要視されています。またサービス利用者の方の中でも施設への入所に不満を感じ自宅で過ごしたいと望む方は多いでしょう。しかし身体が不自由になった高齢者の方の介護を家族のみで行うのは非常に大変です。介護を理由に仕事を退職したり学校を退学する人もいるほどで、在宅介護においても社会的なサポートは必須になります。そのために活躍が求められる存在が訪問介護であり、前述の通りサービス提供責任者は訪問介護において必須の仕事なのです。

ケアマネージャー以上に低い認知度

ケアプランにもとづくプロデュース

このように重要なサービス提供責任者の仕事ですが、その職務内容はいわゆる管理職と言って良いでしょう。まず代表的な仕事にプロデュース機能があります。ケアマネージャーが作成したケアプランにもとづいて、どのような訪問介護を行うのかを計画しその実行に向けて各種の段取りを行います。なおこの仕事はケアプランをただ計画に落とし込めばいいというわけではありません。サービス利用者の実情に合わせてアセスメントを行い適切なサービスのプロデュースに繋げていく必要もあるのです。訪問介護には利用者の方の住宅の掃除や食事の準備などの生活援助と、排泄介助や入浴介助と言った身体介助2つの側面がありますが、そのバランスを最適な形で保った介護サービスの実現が望まれます。
もちろんプロデュースをして終わりではなくその実施のフォローや評価、今後の改善までも行います。

ケアプランにもとづくプロデュース

コーディネートやマネジメント

適切な訪問介護を実現するには派遣するヘルパーの選定やその段取り、および関係各所との協力が必要になりますがそのようなコーディネートもサービス提供責任者の仕事になります。利用者とヘルパーとの相性の見極めも大切になるので、深く人を知る必要がある仕事と言えるでしょう。なおコーディネートだけではなく、事業所に所在するヘルパーの指導業務もその仕事となります。また訪問介護のサービス提供における契約なども取り仕切ることになるので、介護保険などの体系についても深く理解していなければなりません。

コーディネートやマネジメント

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